握りの作り方(参考例)

以下に一例を紹介しますが、この他にもいろいろな作り方がありますので、詳細は指導の先生にご相談ください。

伝統的な方法としては厚紙や皮などの重ね貼りや、葉書用紙などを三日月状に巻き重ねて曲面に整える方法、等があります。
高さと内竹面の調整用にはゴムや皮革製の部材が市販されています。
これからは、幅の調整も含めて新しい調整部材(幅増し板・まくら台木)もありますので、是非とも自分自身の手で調整した、真に最適な握りをつくり上げてください。

① 最適な下地寸法を決める

最適な握りの外形寸法が定まったら、次に下地寸法を決めます。
外形寸法は革が巻かれた状態の外側の寸法なので、そこからあらかじめ巻き革の厚み分を差し引く必要があります。(外周全体に巻くので幅、高さそれぞれ革2枚分の厚み)
そのようにして最適な握りの下地寸法を明らかにします。

② 下地調整用の部材を貼付ける

確認した最適の下地寸法から弓本体の寸法を差し引けば、必要な寸法増加が分かります。これに充てる部材(高さ・幅)を弓の地肌に貼付けます。

  • 高さの調整には新部材の「まくら台木」を貼付けて削るのが簡便です。
    「まくら台木」と弓本体の間に木工パテを絡めた布を挟んで密着すると効果的に貼り付きます。

  • 幅を増やす必要がある場合は、適切な厚みの部材を側木に貼ります。新しい部材の「幅増し板」(1mm厚の軟質薄板)が使い易いです。先に貼った「まくら台木」の側辺下の側木に「木工(ウッド)パテ」を塗って「幅増し板」を貼り付けて1時間ほど静置してください。
    外竹側にはみ出した部分は弓の反りに合わせてトリミングしてください(厚紙と同じようにハサミやカッターで切れます)。

※貼った後は基本的に隙間が多く出来ているので、そこには全て「パテ」で埋めて置けば、加工準備完了です。

③ 基本形状を粗削りする

側木側の「幅増し板」と内竹面側の「まくら台木」の接着が硬化したら握りの下地形状を整えます。両部材の材質は、鉛筆を削るよりも楽な快削感で削ることが出来ますので、先ずは大まかな形に粗削りしてください。重要な内竹側の曲面も同時につくるので丁寧な調整が望まれます。

内竹側は高さとともに曲面形状が大事です。希望する曲面形状があればそれを厚紙などでU字状の型紙にして、それに合わせながら仕上げるのが便利です。当品の曲面形状も一参考例としてご活用ください。

④ 求める最適寸法に仕上げる

基本的には上記の③の段階でほぼ完成していますが、加工の跡に細いスキ間や削り過ぎた窪みなどが残る場合があります。
そうした箇所は「木工パテ」を使って埋めてください。それらを含め最終的に平ヤスリやサンドペーパー等で仕上げてください。求める完璧な下地形状が仕上がります。

「木工パテ」はチューブ入りのペースト剤で、比較的早目に硬化します。
木材のように削れるので、仕上げや補正には最適です。

最後に用意の握り革を巻けば、まさに自分に最適の握りが完成します

最適な形状の握りを使い始めると、自然な手の内が安定するようになります。

それが手の内の技量向上を早めます。射に臨む中で「この握りなら必ずいつも通りの大三に収まる」という信頼感とともに、平常心を支える強い味方としていただけたら幸いです。

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